今回紹介するのはNicholas Sparks(ニコラス・スパークス)による2009年の小説「The Last Song」です!
この本を知ったきっかけは、中学生のときに大好きだったマイリー・サイラスさんが2010年の同名映画で主人公のロニーを演じていたこと。
原作を洋書で読破したのは大学生になってからですが、映画よりもそれぞれの登場人物の心情が繊細に描かれていて、また当時映画を見たときの感動がよみがえってくるようで、物語の世界に引き込まれながら読んだのを覚えています。
初めての恋や家族との関係に揺れ動くティーンの心をすごく丁寧にとらえていて共感できる部分も多いので、ぜひ同年代の女の子におすすめしたい洋書です!
目次
▶あらすじ
▶取り戻される父娘の絆
▶ティーンたちの人間模様
▶マイリー主演の映画版もおすすめ
あらすじ
主人公のロニーは、ニューヨークで母と弟と一緒に暮らす17歳の女の子。家族のもとを去った父のスティーブとは、もう何年もまともに口をきいていません。
将来有望なピアニストでもあったロニーですが、かつて自分の先生だった父への反発心からピアノを弾くこともやめていました。
そんなあるとき母の提案により、ロニーとジョナは父の故郷である海辺の町で、父と夏休みをまるまる一緒に過ごすこととなります。
最初は父との生活を憂鬱に感じ反抗的な態度をとる毎日でしたが、さまざまな出来事を通していつしかスティーブと田舎の町で暮らすことを心地よく感じ始めるロニー。
また町のビーチで出会ったウィルとは、ぶつかりあいながらもお互いに惹かれあい、初めて本当の恋に落ちます。
しかしある日、ロニーは父がずっと隠していた秘密、そして姉弟が父と夏を過ごすことになった切ない理由を知ることになるのです・・・。
※以下ネタばれを含んでいるので、未読の方はご注意ください。
取り戻される父娘の絆
この本を読んで、一番ぐっときたのがやはり父娘の絆。
最初はなにかにつけてスティーブに突っかかっていたロニーですが、様々な出来事を経てスティーブの自分たちに対する深い愛情に気づくようになるんですよね。
父が末期の癌におかされていることを知ってからは、限られた短い時間のなかでできるだけ多く父のことを知ろうとするロニーの姿が切なかったです。
スティーブと疎遠になったままだったらこれほどつらくなかっただろうに、2人が一緒に過ごし親子の絆を取り戻したからこそ、ますます2人の別れが悲しい。
ロニーは父の書きかけの曲を完成させようとしますが、これがOur Last Song「私たちの最後の歌」と、小説のタイトルの意味につながっていると分かった時はすごく切なかったな・・・。
しかも家族がばらばらになった原因の浮気をしていたのは実はスティーブではなく、母のキムだったという事実をロニーは知ってしまうんです。
スティーブは子供たちが傷つかないように自分が悪者になって、ずっと真実を言わないでいたんですね。
ずっとスティーヴが自分たちを捨てたと信じて、彼を無視し続けていたロニーの気持ちを考えるとやりきれなかったです。
思い返すとスティーブの行動ひとつひとつが、子供たちを思いやったものだったとロニーは気づいていくんです。
両親が離婚しているロニーとは境遇は違うけれども、本を読んでいてなんとなく自分の反抗期を思い出しました。
なにかと親には反抗的な態度をとっていたけれど、結局最後に自分を一番理解してくれているのも、自分の決断を尊重して夢や目標を応援してくれるのも親だと気付くのはずっとずっとあとになってからだったなあと。
そのような部分でロニーと自分を重ねて見てしまうところもありました。
ティーンたちの人間模様
この物語のもう一つのポイントは、ロニーが海辺の町で出会うティーンの子たちとの人間関係です。
特にウィルは、ケンカに巻き込まれそうになった小さな男の子を助けたり、ウミガメの卵を守ろうと一晩中浜辺で野宿したり、反抗的な態度の裏に思いやりと優しさを持つロニーに惹かれます。
またロニーも、ウィルが水族館のアルバイトでウミガメの卵を見に来た事から彼と仲良くなり、ともに時間を過ごすうちに恋に落ちます。
二人が恋に落ちる過程にはちょっぴりベタなところもありますが、どろどろとしてセンセーショナルなティーンの恋愛ドラマが人気の今日、こういう純愛はなんだか微笑ましくて思わず笑顔になってしまいました。
小説の最後で、ジュリアードに通うことにしたロニーのもとに、ウィルがサプライズで自分もニューヨークにある大学に通うと伝えに来るシーンは、思わず笑みがこぼれてしまうような素敵なシーンでした!
スティーブが亡くなり悲しみに暮れていたロニーですが、大切な人の失ったつらい経験を乗り越え新しい生活へと踏み出す力をくれたのもウィルだと思います。
この物語を通して、ロニーが父・スティーブとの絆を取り戻し、ウィルと出会い本当の恋を知って・・・と様々な感情に揺れ動きながらも、成長していく様子には心動かされました。
エンディングはロニーがやっと関係を修復し、それ以上にかけがえのない絆を得たスティーブが亡くなってしまって本当に悲しかったです。
けれどロニーが父と過ごした時間で夢を取り戻し、人生の新しいチャプターに踏み出す様子には希望をもらえたし、心が温かくなるエンディングだったと思います。
マイリー主演の映画版もおすすめ
やはり小説の方が、ロニーだけでなくスティーブ・ウィル・ブレイズたち登場人物の心情が詳細に描かれているので、より物語の世界に入り込めたと思います。
ただ映画版も主演のマイリー・サイラスさんがロニー役にぴったりだし、なんといってもマイリーとリアム(ウィル役)が出会った伝説的な(?)映画なので、ファンには捨てがたいですね!
ただドラマ「ハンナ・モンタナ」の影響なのか、ロニーの父・スティーブ役はマイリーのお父さんのビリー・レイ・サイラスだったらもっとしっくりくるのに!と思ったのは私だけかなあ・・・(洋書版を読んでるときは、なぜかスティーブのところでビリー・レイ・サイラスの顔が思い浮かんでくるんです)。
小説を読んだあと、久々に映画版も見返したくなりました!またニコラス・スパークスの他の作品にも、原書で挑戦してみたいなあ。
↑マイリー・サイラスがロニー、リアム・ヘムズワースがウィルを演じる2010年の映画「ラスト・ソング(原題:The Last Song)」。
小説を読んだ後に見るのがおすすめです!
↑「The Last Song」の原書。
↑日本語翻訳版の「ラスト・ソング」。